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#3雑談と対話はどう違う? 働き方のモードからオフィス環境を考える

働き方が多様化し、アイデアと人が重視される現代のビジネスシーンでは、より柔軟で有機的な「Living Office(生きているオフィス)」が必要とされている。これは、家具メーカー・ハーマンミラージャパンの提言であり、これからのオフィスデザインに欠かせない根本思想だ。では、どのようにしてそのLiving Officeを形にするのか。同社のマーケティングマネージャー・前澤恵子さんに聞いた。

「企業の文化に合ったオフィスをつくるためには、どういう働き方がされていて、その働き方をオフィスがサポートしているのかをまず見極める必要があります。そのためのフレームワークが“Living Office”。ハーマンミラーでは、世界的なリサーチをもとに、現代の働き方を“10のモード”に分類し、オフィス家具のセッティングを考えるうえでの参考にしています」

業種や職種、仕事の内容によって、個々で集中したいときもあれば、多数でディスカッションして仕事を進めるときもある。打ち合わせや会議、デスクワークといった仕事内容を、少しレイヤーを変えて、より丁寧にとらえるための思考ツールが、“モード”という概念だ。

「たとえば1対1、あるいは少人数での話し合いも、前もって時間と場所を決め、目的を持って話し合う“対話”と、たまたま顔を合わせた人同士が偶発的に行う“雑談”では、ニュアンスが異なりますよね。その会社が対話を行うスペースをつくりたいのか、それとも雑談や交流をうながすスペースをつくりたいのかで、オフィスのレイアウトやセッティングも変わってきます。当社では、この『対話(打ち合わせ、Converse)』や『雑談(チャット、Chat)』を、働き方のモードとして区別しています」

これらのモードを抽出することが、オフィスデザインにどう活かされるのか。具体例を挙げてみよう。下の写真は、ハーマンミラーが提案するオフィス家具のセッティングの一例だ。
プラザ
ハーマンミラーが提案するセッティングのひとつ「プラザ」。“オープンで心地よい、パブリックな空間”として、オフィスの入り口付近など、人の往来がある場所に設置されることが多い。

「この“プラザ”というセッティングは、雑談にも対話にも対応するものです。飲み物を提供するカウンターなどを設置して、人が集まれるスペースが設けられています。コーヒーを取りにいったときに立ち話が始まったりして、普段は話さない人とも、たまたまそこにいるから交流が生まれる。こういった雑談のためのスペースって、もともとは給湯室や喫煙所だったのかもしれません。今では喫煙できないオフィスビルが増えていますが、代わりにコーヒーを飲むラウンジスペースをつくったりして、会話が生まれるような仕掛けを工夫している会社が多いんですよ」

偶発的な“雑談”をうながすには、人が自由に行き交いながら、リラックスできるスペースが望ましい。一方、目的を持った“対話”を行うには、開けすぎてもいけない。

「ゴールを決めて話し合うためには、個室とまではいかなくても、行き来する人に邪魔されず、まわりの雑音が聞こえないように仕切られた空間がいいですよね。これからの給与の話など込み入った話は、囲まれた空間が必要です」

プラザ 少数の会話

少人数のブレストや打ち合わせなど、カジュアルなミーティングを行うときに使われる。場所の予約も不要

「オフィス家具のセッティングは、雑談をするからこの形、対話だからこれというふうに決まっているわけではありません。ハーマンミラーでは、企業のニーズを聞きながら、最適なかたちを提案します。働き方のモードを説明して、社員がどういう働き方をしているか、その働き方をオフィスがどうサポートしているかということをヒアリングすると、マネージャーと現場の人の回答が違う場合もあります。最初は雑談するスペースは必要ないと考えていても、ハーマンミラーの提案を聞いて雑談の重要性を再認識される会社もあります。企業の目標や理念は何か、どういう働き方を求めているのか、どんなスペースが不足しているのかをひとつひとつ掘り下げなければ、生きているオフィスはつくれません。オフィスの形というのは組織の理念や働き方を表すものですから、会社の数だけ最適解があるはずなんです」

働き方のモードには、「雑談(チャット、Chat)」と「対話(打ち合わせ、Converse)」以外にも、「Co-クリエイト(Co-Create)」「チーム分担作業(Divide & Conquer)」「ハドル(Huddle)」「プレゼンテーション(Show & Tell)」「ウォームアップ、クールダウン(Warm Up, Cool Down)」「ルーティンワーク(Process & Respond)」「クリエイト(Create)」「思索(Contemplate)」といった分類がある。次回以降で、それぞれのキーワードをセッティングと合わせて見ていこう。

▼「Living Office」について、詳しくはハーマンミラー公式サイトで!

http://www.hermanmiller.co.jp

▼ハーマンミラー「Living Office」とは? 好評連載中!

#1 産業から情報、そしてアイデアの時代へ。働き方の変遷を追う!

#2 人にあわせてオフィスをつくる、“Living Office”の考え方とは?

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