_31A4707

#4 人と仕事、知識が集う!自由なオフィスの自在な働き方

新しいオフィスと、そんな環境を利用して可能になる新しい働き方を考察する本連載。今回は、ローマテリアルな素材感を活かし、緑が多い広々とした空間作りから、ワーカーやゲストの闊達な交流を促すオフィスを作り出した、イノベーター・ジャパンの代表、ビジネスデザイナーの渡辺順也さん(写真左)に“働き方”をテーマに話を伺う。聞き手は、WORK(ID)の運営会社であり、都内で自社での運営や、複数のシェアオフィスプロデュースに携わるマッシグラ代表の金子智一さん(写真右)。かつて「ローマテリアルなデザインのオフィスに合う、高性能なワークチェアがほしい」という渡辺さんからの相談を受け、ハーマンミラー社の「セイルチェア」を提案、納入している間柄だとか。

_31A4743

プロジェクトごとに、“仮想の会社”から人材を派遣する

金子「風通しのいいオフィスですね。このプロジェクトがあるから来て下さい、と外部の人を呼ぶような働き方を意識したレイアウトですよね」

渡辺「まさにその通りで、『オープン』を意識して作りました。新しいコミュニケーションやリクルーティングが生まれたら良いんじゃないかと考えて、Wi-Fiも開放して、誰がいつオフィスに来ても、仕事ができる環境にしています」

金子「たとえば独立して周りを見ると、有能な人がいっぱいいるじゃないですか。今後はプロジェクトごとに仕事を掛け持ちして、軸足だけがどこかの企業にある。有能な外部の人が集まって、『私は何ができます』というものを持ち寄って、ビジネスが動くというスタイルになると思うんですよ。いくつくらいのプロジェクトが同時に進んでるんですか?」

渡辺「小さいのも合わせると、たぶん20近くですね。社員が25人くらいで20プロジェクトなので、みんな3〜4プロジェクトくらいは持っています」

金子「プロジェクトはどんなふうに割り振られるんでしょう?」

渡辺「挙手制です。仕事のプロジェクトとは別にファームという構造を作っています。システムデザイン、UI/UXデザイン、マーケティングデザインの3ファームに分けていて、スタッフは必ずどこかに属しているんですね。で、自分の磨きたいスキルをそこで養います。これらのファームを仮想的な会社に見立てて、各プロジェクトに人を派遣するようなイメージです」

_31A4661

マインドや“グルーブ感”の共有は、デジタルツールを積極的に活用!

金子「勤務形態はどうしているんですか?」

渡辺「去年から裁量労働制を導入して、労働場所と時間は基本自由にしています。午前は外で仕事して、午後から出社とか。先日も福岡のスタッフが東京に遊びにきて、月火は東京で仕事します、とか。そこにもデメリットがあると思っていて。マインド的なものの共有が図りにくくなるんですよね。そこで毎週金曜日の夕方にTGIFミーティングという全社員が集まる場を設けています」

金子「拠点が増えて、働き方も多彩になると、マインドに加えて、“グルーブ感”も担保しづらくなりそうですよね」

渡辺「そこはツールで補完していこうかなと思っていて。福岡の拠点とは、リモートで互いの状況がリアルタイムで映し出されるモニターを設置しています。あとは『Slack』というチャットツール。プロジェクトごとにチャンネルも作れますし」

_31A4749

人が自由に出入りできるオフィスは、“学び”を取り入れた人材交流の場

オフィスは働く場所のみならず。イノベーター・ジャパンでは「InnoCAFE」というイベントを月に1度開催している。これは、様々な分野のスペシャリストを呼び、知識や知恵を共有して、コミュニケーションを図る場だとか。

渡辺「学ぶってどういうことかを考えたときに、知識を吸収するだけでなく、それをアウトプットできてはじめて自分のものになると考えているんです。なので全社員が日常的にプレゼンテーションをするための場として、この打ち合わせスペースは30cmほど床を上げてステージとして使えるようになっています」

金子「これだけ広く贅沢に使える企業さんって、そうはいませんよ」

渡辺「うちのオフィスは“見てくれ”にこだわらず、豪華なエントランスなどは設置せずに、ほぼ全てのスペースを社員のために使っています。オフィスって、企業にとっての最大のメディアだと思うんです。理念や思い、従業員への態度とか、そういうのが全部現れているメディア。そういった部分のデザインは、もしかしたらコーポレートサイトよりも大切かもしれない。そこをちゃんと見てもらって、会社を気に入ってくれたらうれしいですよね」

金子「その反面、『こんなオフィスだ!』って、発信する機会ってなかったですよね」

渡辺「オフィスって基本的にクローズドな空間で、セキュリティが守られなきゃいけない空間ですよね。それだけだともったいないし、ここでミーティングをしているときにお客さんが入ってきてみると、こういう働き方をしている会社なんだなって全然見方が変わるじゃないですか」

_31A4831
金子「雰囲気だけよくする…というのではなく、御社のように『こうであってほしいから』というところからスタートする事例が増えてほしいですね。ワークスペースのクオリティが高い会社に、優秀な人材はどんどん集まっているように思いますし」

渡辺「人の働き方が増えると、より社会全体の適材適所が進むようになると思うんですよ。それは社会にとって必要なこと。働き方に縛られない人材が色々な環境で活躍するほうが、やっぱり健康だと思います。我々は企業のイノベーションをテーマにやっていますが、デザインして変えられるものは事業だけじゃなくて、組織の構造だったり、空間デザインだったりするかもしれないと考えています」

金子「そういう、名前がまだない次のステージのソリューションをぜひ一緒に考えてみたいですよね」

_31A4804
イノベーター・ジャパンには、多彩な人材がいる。海外の広告代理店で働いていた人や、デンマークのカオスパイロットというビジネススクールから来日したインターン生も。デンマークからインターンで来たBjarkeさんによると「オフィスがとてもリラックスできる場所で、そんな環境で仕事をするのはとても刺激的だった」とのこと。

渡辺さんによると、「日本で語られるデザインは、グラフィカルな部分だけでしかない」と違和感を感じており、オフィスも働き方も、すべて“デザイン”すべきものだと考えているそうだ。日本の社会やオフィス、働き方についても、デザインが入る余地はたっぷりとありそうだ。そのヒントは、イノベーター・ジャパンのオフィスや働き方に隠れているかもしれない。


●今回お話を伺った会社
株式会社イノベーター・ジャパン
「テクノロジー、デザイン、マーケティング」の3つの力で、様々なイノベーションを起こす会社。手がけるのはメディアやブランド戦略、システム管理など実に多彩! 各分野のスペシャリストが集まり、プロジェクトごとに最適なチームを編成し、企業や組織の価値を高め、画期的なサービスを創出する。

http://www.innovator.jp.net


▼働き方を変えるオフィス構想「WORK(ID) OFFICE LAB」好評連載中!

#1 編集者の独立ストーリーで解説! シェアオフィスを勝手に分類

#2 シェアオフィス・新宿ネオン、「職場というより部室」という働き方

#3 自由な出会いとコミュニケーションを育む、まるで“西海岸”なオフィス

#4 人と仕事、知識が集う!自由なオフィスの自在な働き方


関連記事