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責任?ご褒美?仕事のやる気を身につける方法って?

新年を迎えるたびに、今年の目標を決めるも「明日からでいいや…」と、気づけばズルズル先延ばし。結局、年末になって、「今年の目標なんにしたんだっけ…?」と、すっかり立てた目標を忘れてしまうという人も少なくないのでは? 目標を立てるは易し。問題は、やる気を奮い立たせ、継続することなのだけど、これがなかなか難しい。

「私たちがやる気を出すためには、何かしらの動機が必要であり、一般的には『内発的動機』『外発的動機』の2種類に分けることができます」

そう話すのは、心理学博士で作家の榎本博明氏。内発的動機付けとは、自分の内側から沸き起こる興味関心や意欲によって、やる気が導き出されるというもの。
例えば、誰からも強いられるわけでもなく、試験やテストがあるわけでもないが、“興味のある分野をもっと知りたい”という気持ちから勉強するのは、内発的動機のひとつだ。

対し、外発的動機とは、評価や賞罰、強制によってやる気が導き出されるもの。“会社の査定によって、給与が良くなったこと・良くなりたいと思うことで仕事を頑張ろうと思う”“提出日を前に叱られたくないからと、夏休みのギリギリになって宿題をやる”などが一例だ。

●人参に慣れた馬は人参では動かない

「外発的動機付けは、いわゆる、“馬の鼻先に人参をぶら下げる”ということ。はじめは報酬をもらえる喜びから始めた行動であっても、そのなかで成功体験を得る、満足感を得ることによって、内発的動機に変化していくことがあり、外発的動機も決して悪いことではありません。しかし、“報酬がなければ行動しない”“報酬をもらうことが目的になってしまう”ということもあり、注意が必要です」(榎本氏 以下同)

仕事での頑張りが評価され、昇給した。しかし、次の査定では同様に頑張ったにも関わらず、昇給しなかった。すると、仕事のやる気をなくしてしまいがち。しかし、やる気をなくしてしまっては、評価されることもなくなる…。
こうした負のスパイラルから抜け出すためには、どうしたら?

「例えば仕事であったら、自分で創意工夫できる工夫を持つこと。上司であれば、部下に創意工夫できる余地を持たせ、責任感を刺激することです。決められた範囲内の仕事であっても、やり方や時間配分など自由な裁量で工夫できるようにすると、自分の意思で仕事を動かしているという気持ちから“自己有能感”を得やすいだけでなく“責任感”が刺激されます」

自己決定感と成果獲得による成功体験、そしてそれをきちんと評価するという仕組みが上手に回れば、やがて自律的な動機を持つ人に変化していくというわけだ。なかには、支持がない・任されると不安を覚える、という人もいるだろう。そういう人は、具体的な指示を得る・与えることが大切だと榎本氏は続ける。

企業では業務の細分化が進み、個人が持つ仕事の範囲が小さくなっている。上司からすれば部下がどんな仕事をどのように進めているのかわかりにくく、評価しにくい土壌になりつつある。自分の仕事でどんな工夫をすることによって、どのくらいの成果を上げることができたのか。上司からの評価を得て、自分のやる気向上につなげるためには、部下側の工夫も大切なのかもしれない。
(文・鈴木大介/考務店)


●今回お話を伺った人
MP人間科学研究所
代表 心理学博士 榎本博明氏

東京大学教育心理学科卒業後、東芝市場調査課に勤務。その後カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などを経て現在に至る。心理学を基礎とした企業向けの研修や教育講演を行い、著書に『「上から目線」の構造』『薄っぺらいのに自信満々な人』『「やりたい仕事」病』など多数。



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