しょんぼりだけではもったいない。叱られた体験をどう糧にするか?

しょんぼりだけではもったいない。叱られた体験をどう糧にするか?

「寝坊して遅刻してしまった」「書類提出をうっかり忘れていた」「クライアントを怒らせてしまった」など、仕事をしていれば大なり小なりミスをすることがある。ミスをすると上司からのお説教があるわけだが、叱られてヘコんでいるだけではもったいない。ミスを自分の成長につなげるためには、どうすればいいのだろうか? 心理学博士で『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)の著者・榎本博明氏に話を伺った。

そもそも叱られて伸びない・伸びるタイプの違いは?

「伸びない・伸びるタイプの違いは、叱られたあとにモチベーションが下がるか上がるかの違いです。叱られて落ち込んだり、叱られた内容があたっているにも拘らず感情的に反応したりしてしまうだけの人は、伸びない人です。それに対して、伸びる人は感情的にヘコむことはあっても、すぐに“なにくそ精神”が芽生え、叱られた内容を克服しようと、物事を前向きに捉えることができます」(榎本氏)

ポイントは、叱られて不快な気分になる「感情反応」から「認知反応」に切り替えて、ミスを克服する方法や、自分がどうしたら相手を納得させる仕事ができるかを考えられるかどうかだという。

「感情反応」だけで終わってしまう人は、自分が怒られ慣れていないことを受け止め、感情的になりやすいことを意識しておくといいそうだ。とはいえ、いくら意識してもすぐに改善できるものではないだろう。榎本氏によると、気持ちを切り替えるにはものすごくエネルギーが必要になるため、手帳やカードに「自分は感情反応しやすい」や「叱られることは成長になる」など、気持ちを切り替えるためのメモを用意しておくといいそう。感情的になったときに、メモを見れば気持ちを切り替えやすくなるのだとか。

ほめて伸びるタイプは注意が必要かも…

「自分はほめられて伸びるタイプ」という人をたまに見かけるが、これはどういう人なのだろうか?

「ほめて伸びるタイプは、相手に依存している人です。ほめてくれたらやる気が起きて、良い気分になる。ほめられないとやる気にならないため、ほめられる環境がなくなると伸びなくなります。社会に出ると、まだまだ未熟な点も多く、ほめられるどころか叱られることが増えるため、このタイプは危機を迎えます」

自分が成長したいという気持ちがあり自立している人は、“ほめ”に関係なく自分でモチベーションを上げる力を持っているため、人に依存しない強さがあり、苦境のなかでも成長できるタイプといえるそうだ。

余談にはなってしまうが、上手な叱り方についても教えてもらうと、「曖昧に『いつまで経ってもできないな!』のように感情的な叱り方をしてはいけません。人格否定するような言い方は避け、どこがまずいのか、どうすべきだったのかなど、行動や作業といった事実の面だけを指摘すれば、相手は認知反応に進みやすくなります」と榎本氏。後輩や部下を持つ人は、覚えておくといいかもしれない。

叱られることは決して気分が良いものではない。だからといっていつまでも落ち込んでいては、自分の成長にはつながらない。ミスをして叱られた経験をもとに、より自分がパワーアップできるよう、問題を克服する力を身につけよう!
(文・奈古善晴/考務店)


●今回お話を伺った人
MP人間科学研究所
代表 心理学博士 榎本博明氏

東京大学教育心理学科卒業後、東芝市場調査課に勤務。その後カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などを経て現在に至る。心理学を基礎とした企業向けの研修や教育講演を行い、著書に『「上から目線」の構造』『薄っぺらいのに自信満々な人』『「やりたい仕事」病』など多数。



関連記事