Turtle and rabbit racing

他人より仕事ができる、と感じたら注意すべきポイント

この仕事は同僚の誰よりも自信があり、きっと自分が一番評価されるに違いない。そう思って臨んだものの、ふたを開いてみたら一番の評価をもらうどころか、その成績は下から数えた方がはやかった…。仕事上で、自分が思っていたほど成果が上げられなかったという経験、誰しも多かれ少なかれあるだろう。

慢心や油断することなく、最後まで全力でやり切ればよかったということなのだろうか。過信していたかもしれないが、それでも自分なりに一生懸命やったつもり。そういう人も多いと思うが…。

「人はみんな自己愛が強い生き物。多くの人は、自分に甘く、自分に都合の良いような物事のとらえ方をしていく傾向があり、これによって大事な判断を誤ることがあるのです。これを、ポジティブ・イリュージョンといいます」

そう話すのは、心理学博士であり作家の榎本博明氏。心理学者の間では、人間のこうした傾向について、これまでにも様々な調査・研究がおこなわれているという。

なかでも有名なのが、心理学者ダニングが高校生を対象に実施した調査。高校生に自己の運動能力に対して評価してもらったところ、平均よりも上と回答した人の割合は60%おり、平均より下と回答した人は6%となった。実際には、平均よりも上の人が60%もいるのはおかしいし、平均よりも下の人が6%しかいないのもおかしい。自己評価と現実には、かなりのかい離があるという結果だ。

「ダニングとクルーガーが過去に行った別の研究調査『論理的推論の能力』についての実験では、大半の人たちが自分の能力を過大評価していましたが、実際のテストの点数が良い人の最上位4分の1の人たちだけは、自分の能力を過小評価していることもわかりました。能力の高い人は、自分の能力を過小評価する傾向があるのです」(榎本氏 以下同)

●仕事で自分を過大評価しないようにするためには…

これらのことから言えるのは、能力の低い人は自分の能力が実際に低いだけではなく、自分の能力を俯瞰的に見る能力が乏しいということだ。過信におぼれたくはないものだが、予防法はあるのだろうか?

「ポジティブ・イリュージョンになりやすい人は、自分の評価能力や成績に不満至らなさを感じていないケースが多いのではないでしょうか。現状に満足せず、『(これでいいと思っていたけれど)まだまだ改善の余地があるかもしれない』と、自分の能力の弱点に気づく、認知能力を高めることです。そして、様々な可能性やその先に起こりうるリスクを想像できる、認知的複雑性を高めましょう」

仕事ができる人は、あらゆる方法とリスクが思い浮かぶため、不安が大きくなる。それゆえ、自分を過大評価することはない。もしも、仕事で「完璧!」と思ったら、本当に完璧なのか、一度疑う癖をつけよう。
(文・鈴木大介/考務店)


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